卒業旅行中に留年します。

22歳大学四年生(内定持ち)。留年まっしぐら。人生最大の絶望のなかブログ書いてます。

自作コント【蜘蛛】

どうも。しいたけ酎ハイです。

暇潰しで作っていた自作コント載せます。

あはは。


【登場人物】
・父親(28歳、ナレーションのみ)…A
・子供(4歳、ナレーションのみ)…B
・青年(19歳)...B
・ひったくりに会う男性(57歳)...A
・男性(43歳)...A
・?A(ナレーションのみ)...A
・?B(ナレーションのみ)...B

 

 

父親:「あきら、何をしてるんだい?」

子供:「クモ見てる!」

父親:「蜘蛛の観察か。どれどれ。」

子供:「あ!見て!あの蜘蛛、あっちの蜘蛛が捕まえた蝿を盗んだよ!」

父親:「本当だ。あの蜘蛛は、あっちの蜘蛛が餌を捕まえるのを狙っていたんだ。他の蜘蛛が捕まえた餌を取ることで、効率的に餌を得てるんだよ。とても頭が良いね。」

子供:「え、でも他の人のものを盗るなんて泥棒じゃん!悪いことじゃないの?」

父親:「あの蜘蛛も自分が生きていくために必死なんだ。生きるためには仕方がないことなんだ。だから、良いも悪いもないんだよ。」

子供:「でも、なんだか盗られた蜘蛛が可哀想だよ。」

父親:「確かに可哀想に思えるかもしれない。でもね、自然界は弱肉強食。強いものだけが生きていけるんだ。」

子供:「そっかー。」

父親:「けど確かに泥棒はいけないことだ。私たち人間は、蜘蛛とは違う。だから他の人の物を盗むのは絶対に駄目だぞ。」

子供:「うん!わかった!それにしてもこの蜘蛛、なんだか変わった形をしているね。なんか木の枝みたい。」

父親:「ああ。恐らくこれは、体を木の枝に似せることで、他の生き物を騙してるんだ。敵から見つかりにくくしたり、餌を捕りやすくしてるんだよ。生きていく為の進化だね。」

子供:「生き物の進化って凄いね!」

父親:「そうだろう?」

子供:「でも、他の生き物を騙すなんて、なんかずるいね。」

父親:「ははは。確かにずるいって思うかもな。でもな、自然界は弱肉強食。みんな生きていく為に必死なんだ。」

子供:「そっか…。」

父親:「お前は正義感が強いな。お父さんはその気持ち、大切にしてほしいと思ってる。それに、これも自然界では生きるために仕方がないことだが、私たち人間は別。他の人間を騙すことは詐欺と言って、絶対にしてはいけないことだ。」

子供「うん!」

父親:「お前は良い子だ。」

子供:「あ!この蜘蛛、お腹にいっぱい子グモがいるよ!」

父親:「本当だ。世界にはね、子蜘蛛が親蜘蛛を食べちゃう蜘蛛もいるんだよ。」

子供:「え!なんで!?なんで食べちゃうの!?」

父親:「ん~これはお父さんにもよく分からない。でもね、恐らくこれも、生きていく為には必要なことなんだ。」

子供:「そうなの?」

父親:「ああ。生き物はね、みんな生きる為に必死だ。生きる為に進化していく。だからね、一見私たちには理解できないことでも、その生き物にとっては必要なことなんだ。この蜘蛛にとって、親を食べることは生きていく為に必要なことなんだ。」

子供:「なんだか蜘蛛って可哀想な生き物だね。」

父親:「そうかもなぁ。でも、蜘蛛にとっては全て生きる為には当たり前のことだから、悲しいとは思ってないんじゃないかな。」

子供:「そっか…僕、人間でよかった。僕はお父さんのこと絶対に食べないよ!」

父親「ははは!ありがとう。さぁ、そろそろ家に帰ろう。」

 

~15年後~

中年の男性は、封筒の中を覗くと、嬉しそうに笑みをこぼす。

すると、そこに青年がサッと近づき、男性の持っていた封筒をひったくった。

一瞬の出来事だった。

走り去る青年。

男性:「ど、泥棒ー!!」

男性は必死に追い掛ける。

しかし、青年の姿はすぐに見えなくなってしまった。

男性:「返してくれ!やっと稼いだ給料なんだ!頼む!」

悲痛な叫び声が響く。

しかし、青年が戻ってくることはない。


?B:「あ!あの人間、あっちの人間のお金盗んだよ!」

?A:「本当だね。他の人間の稼いだお金を取ることで効率的に自分のお金を得てるんだ。とても頭が良いね。」

?B:「え、でも他の○○の物を盗るなんて泥棒じゃん!悪いことじゃないの?」

?A:「あの人間も自分が生きていくために必死なんだ。生きるためには仕方がないことなんだ。だから、良いも悪いもないんだよ。」

盗られた男はガックリと肩を落とす。

男:「うぅ...。」

?B:「でも、なんだか盗られた人間が可哀想だよ。」

?A:「確かに可哀想に思えるかもしれない。でもね、自然界は弱肉強食。強いものが生きていけるんだ。」

?B:「そっかー。」

?A:「けど確かに泥棒は悪いことだ。私たち○○は、人間とは違う。だから他の○○の物を盗むのは絶対に駄目だぞ。」

?B:「うん!わかった!」


青年は都内の雑居ビルに入ると、自分のデスクに座り、いつも通り仕事を始める。

青年:「もしもし...ばあちゃん?俺だよ...。うん...タクミだよ...。実は、人を跳ねちゃって...うん...。示談金が必要なんだ...。...300万。」


?B:「あの人間は何をしてるの?」

?A:「あれはね、年老いた人間を狙って、その子孫のふりをして、年老いた人間からお金を得てるんだ。」

?B:「え!?本当は子孫じゃないの?それなのに騙せるの?」

?A:「あぁ。鳴き声でうまく相手の子孫の真似をしているんだ。生きていく為の進化だね。」

?B:「生き物の進化って凄いね!」

?A:「そうだろう?」

?B:「でも、他の人間を騙すなんて、なんかずるいね。」

?A:「ははは。確かにずるいって思うかもな。でもな、自然界は弱肉強食。みんな生きていく為に必死なんだ。」

?B:「そっか...」

?A:「お前は正義感が強いな。お父さんは気持ち、大切にしてほしいと思ってる。それに、これは自然界では生きるために仕方がないことだが、私たち○○は別。他の○○を騙すことは詐欺と言って、絶対にしてはいけないことだ。」

?B:「うん!」

?A:「お前は良い子だ。」


青年の父親:「おい!あきら!」

青年:「お、親父...」

青年の父親:「ついに見つけたぞ!」


?B:「あれ?他の人間がきたよ?」

?A:「本当だね。」

?B:「この人間の親かな?」


青年の父親:「お前…まだこんなことやってるのか!」

青年:「…」

青年の父親:「昔から本当にどうしようもないやつで…急に家を出ていって音信不通になって…やっと見つけたと思ったらお前、こんなことしていいと思っているのか!」

青年:「うるせーな!お前には関係ねえだろ!」

青年の父親:「なんだと!親に向かってなんだその口の利き方は!」

青年:「放っといてくれよ!」

青年の父親:「放っておける訳ないだろ!自分の息子が犯罪を犯してるんだぞ!」

青年:「なにが家族だ!今まで散々放っておいたくせによ!」

青年の父親:「なんだと?」

青年の目には涙が浮かんでいた。


青年:「お前は昔から仕事仕事で殆ど家にも帰らず…運動会、音楽会、授業参観、一度だって来てくれたことねぇじゃねえか!」

青年の父親:「俺はお前たち家族の為を思って…」

青年:「3年前、母さんが交通事故でトラックに跳ねられたときもお前は仕事で海外で…2日後お前が病院に着いたとき、母さんはもう死んでた!」

青年の父親:「…」

青年:「母さんはいつも悲しそうだった!でもな、母さんはいつも言ってた!「パパを責めないで。」って!それでもやっぱり俺は、お前のことが許せねぇんだよ!」

青年の父親:「…」

青年:「そんなてめぇが今更、家族とか親とかぬかしてんじゃねぇ!」


?B:「なんだか二匹ともよく吠えてるね。」

 

青年の父親:「…警察に電話する。」

青年の父親は携帯を取り出す。

青年:「は!?ふざけんな!」

青年の父親:「当たり前だろ!」

青年:「ちょっと待てよ!」

青年は父親の手を掴む。

二人は取っ組み合う。

青年の父親:「離せ!」

青年:「やめろよ!」

熱くなる二人。

父親は青年を突き飛ばす。

そして、警察に電話をする。

青年の父親:「ハァハァ、もしもし、警察ですか?」

青年:「くそっ…」

青年は、机に置いてある陶器の灰皿を手にする。

青年:「うおーー!!」

ガンっ

青年は、父親の後頭部を灰皿で力一杯殴りつけた。


青年の父親:「うっ」


そのまま動かなくなる父親。


?B:「あれ?動かなくなったよ?」


青年:「ハァハァ...」


父親は死んだようだ。


?B:「ねえ自分の親を殺しちゃったよ!」

?A:「本当だね。」

?B:「ねえ!なんで?なんで殺しちゃったの?」

?A:「ん~これはお父さんにもよく分からない。でもね、恐らくこれも、生きていく為には必要なことなんだ。」

?B:「そうなの?」

?A:「ああ。生き物はね、みんな生きる為に必死だ。生きる為に進化していく。だからね、一見私たちには理解できないことでも、その生き物にとっては必要なことなんだ。この人間にとって、親を殺すことは生きていく為に必要なことなんだ。」


青年:「ハァハァ…」

青年はゆっくりと、動かなくなった父親に近づく。

青年:「あぁ…」


父親の顔は、まるで静かに眠るようだった。


?B:「なんだか人間って可哀想な生き物だね。」

?A:「そうかもなぁ。でも、人間にとっては全て生きる為には当たり前のことだから、悲しいとは思ってないんじゃないかな。」


自分のしたことを後悔し、涙を流す青年。

しかし、いくら後悔しても、もう遅い。

彼の父親が生き返ることはないのだ。


?B:「そっか…僕、○○でよかった。僕はお父さんのこと絶対に殺さないよ!」

?A:「ははは!ありがとう。さぁ、そろそろ家に帰ろう。あきら。」